私は大企業に21年間務めた経験とその内、大企業が買収した中小企業で務めた経験が5年と地方子会社に転勤3年の経験があります。
さらに今年から地方の中小企業で務めはじめました。
大企業がすべてそうだとか、中小企業がすべてそうだと普遍的な回答にはならないと思います。
しかし私の経験で、
ココがポイント
- これは大企業だからおこったことなのか?
- これは中小企業だからから起こってしまったか?
と思った経験をお伝えします。
大企業で働くか中小企業で働くか?
1.大企業では同期入社の社員が多く相対的な自分のポジションがわかる。
私が入社した時に同期入社は300人いました。
これだけの新入社員がいると会社の寮があり、寮の中では同じ釜の飯を食う仲間がいます。
悩んでいることを相談したり、他の同期がどんな仕事をしたりしているのかがわかります。
良いか悪いかは別にして、あいつは今こんなことをしているのに、私はこのレベルか。
とわかってしまうのです。
幸いにも私は負けず嫌いな正確だったので、なにくそ!と自分の発奮材料になりました。
しかし中小企業では、それほど多くの同期がいるということは少ないでしょう。
今の職場に今年入社の新人が1名だけです。
彼は自分が今どのレベルなのか判断できないと思います。
これは自分が上司になった時にも影響します。
入社してから絶えず周りと比較され評価を受ける大企業ではある程度の評価基準が形成されているはずです。
ですから自分が上司になった時にたとえ自分の部署の中で、当該職務等級に該当する人が一人しかいなかったとしても、この等級ならこれぐらいのレベルは期待したいと上司としての評価基準ができるのではないでしょうか。
その点中小企業の評価軸はどうなのかな?本当に公平なのかな?と思ってしまうことが何回かありました。
ときには上司から正直に
「あなたと近いレベルの人がこの会社内にはいないから評価できません。よって中の中評価にしておきます」
ということが数年続いた時期がありました。
自分としては荒波を乗り越えトラブルプロジェクトの立て直しをして、成果を上げていると思っていたので悔しい思いをした時期でした。
逆に中小企業では同期入社の人と比べてどうこう言われる事は少ないかもしれません。
そのほうが良いという人もいるでしょうし、私だってそういうときが良いと思う時もあります。
2. 中小企業では資金繰りに苦労し、給料や賞与が払われるのかどうかヒヤヒヤする。
大企業の子会社に出向していたときでした。朝出社するとみんなが何やら騒いでいます。
「何事ですか?」
近くの人に聞いてみました。
「きのう振り込まれているはずのボーナスが振り込まれていない。おかしいなと思って周りに聞いてみたらみんな振り込まれていないのよ」
絶句しました。しばらくして役員の人が優しい笑みを浮かべながら
「落ち着くように。手違いで資金調達が本日になってしまった。明日には振り込まれるはずだから・・」
というアナウンスが。
いつも怖い役員の人が優しいっておかしくねえ?
逆におちつけるかと!
ただ私の場合は、出向だったので給料は親会社から出ており関係なかったのですが、それにしても周りに人の不安そうな顔を見ると落ち着きませんでした。
こんな事が起こる中小企業は大変だなぁ。
と思ったのですが、私がいた大企業も業績不振で持ち株会で投資していた株式1千万円の簿価が50万円になってしまい、泣きそうになりました。
この時の心境を例えるうまい例が思いつきませんが、今の沢尻エリカさんの心境と近いものが有るのではと思っています。
大企業だからといって安心するのは禁物です。
3.大企業ではどんな仕事をするかわからずに入社するが、その後、自分のやりたいことが明確になった時にポジション異動がしやすい。
最近新卒入社で入ってくる人は高い目的意識を持っている人が多いと感じています。
それに比べると私は就職氷河期入社のわりに、深いことを考えずに内定した会社に就職してしまったのです。
理由はパソコン持っていて使っていると楽しいから、パソコン使うような企業だったらパラダイスに違いないという漠然とした理由です。
しかも私が学生時代使っていたパソコンというのはもっぱら2chか学内の掲示板に書き込むことでした。
とてもIT業界に入るという素養としてパソコンが使えると言っていいレベルではなかったのです。
しかし前述したとおり、300人もの同期がいましたから、IT業界に入るくせにプログラミングとはなにかまったく知らず、うっかり入っちゃいましたという人が私以外にもいたことが幸いしました。
タイピングができるだけ私はマシだなと思えるほどでした。
下には下がいるというのも大企業のメリットです。
話が横道にそれてしまいましたが、システム会社とはいっても大企業ともなるといろいろな事業をやっています。
配属先によってはこんな仕事は嫌だという人がいるのでしょう。
プロ野球のフリーエージェント制度のようなものがあり、上司には内密に他の部署に異動できるという制度がありました。
もちろんそれなりの素養が必要なのですが。
フリーエージェント制度を私は使ったことがありません。
しかし大企業なので部署により繁閑があり、暇な部署から忙しい部署に3~5年ぐらいで私は異動を繰り返しました。
それが飽きずに一つの会社で20年以上務められた理由かなと思っています。
そして今年から中小企業に転職したのですが、そろそろ一年が経とうとしています。
それにしても早いだろうと自分で感じつつも、最近仕事にマンネリ感が出てきてしまいました。
中小企業なのでフリーエージェント制なんて当然ありません。
どうしたものかと思いますが、そんな事は誰にも相談できないので自分で解決するしかありません。
ひょっとしたらQuoraで聞いてみるという手があるかもしれませんが、それは奥の手としてとっておこうと私は思います。
4. 大企業ではマネジメント力が求められがち、中小企業では職務遂行能力が求められがち。
大企業ではプロジェクトも大規模なものになりがちです。
最近の10年程は数百人が参加するようなプロジェクトをやってました。
管理職になったら年間5億円ぐらいの売上と営業利益をコミットさせられます。
今年中小企業に転職してからは数百万円のプロジェクトをやってみます。
規模が小さいので一人で何でもやらないといけないです。
「最近は自分の好きを仕事にしよう」
みたいなことを本とかTwitterで見かけますが、自分が嫌なこともやらないといけません。
大企業にいた時は、メンバーが効率よく、品質良く成果を挙げられるかというマネジメント能力が求められました。
中小企業ではマネジメントする人がいないので、自分で何でもできないとプロジェクトが滞ります。
それをやりがいがある仕事と捉えるか、専門分野に特化できないゼネラリストになってしまいそうと捉えるかは人それぞれです。
5. 大企業はコンプラインス重視、中小企業は良く言えばおおらか。
大企業に努めていた時にはとにかくハラスメント、不祥事にたいする意識を高く持っておくように指導されました。
人事部の研修やオンライン研修などこれでもかというぐらいに、コンプライアンスに関する判断基準を徹底的に叩き込まれます。
- セクハラ
- パワハラ
- マタハラ
- スメハラ
この仕事、今月中に仕上げとけよ!
これだけでもパワハラになりえます。
そういう指示を出すからには上司もそれなりにサポートしなければなりません。
言うだけの指示はパワハラだというわけです。
ところが中小企業に転職して驚いたのは、コンプライアンスに関する認識が非常にゆるい人が多いということです。
自らサービス残業をしている人もいます。
なんの徳が有るのか私には理解しかねるのですが、あまり口を出しても新参者がと言われる気がして言い出せないでいます。
しかしゆるいのも、仕方がないのかもしれません。
もうすぐ転職して一年が経過しますが、コンプライアンス研修がまったくありません。
じゃあ大企業は、コンプライアンス意識が高いのかというと、数々の不祥事が紙面を賑わせているのでこればっかりは断言ができないです。
しかし上場企業は、社会から厳しい目にさらされているということを考えると、働いていて安心できる確率が高いのは大企業だと思います。
まとめ
以上はあくまでも私が経験したことです。
職場や会社、他の人にとってそんな事はないというご意見も有るでしょう。
ご質問を受けて私なりに経験してみたことを振り返ったのですが、仕事をしている時に大企業からとか中小企業だからとかということは眼中になかったと思います。
眼前の課題をどうやってクリアするのか。
このプロジェクトをどうやって成功させるのか思案する。
仕事を通じてチャレンジしている時は夢中だったと思います。
そして自分のスキルが上がったり、効率化によってルーチンワークになると仕事がつまらなく感じました。
そうなると新しい挑戦はないかなと思い新しいフィールドを求めて新天地さがしました。
大企業か中小企業かはあまり関係なかったと思います。