プロジェクトマネジメント

炎上プロジェクトに参画するときにはアジャイル開発の観点が役立つ

2019年10月1日

何度か炎上プロジェクトを経験している。
いや、ストレスを感じないプロジェクトは無いということからすれば毎回燃え盛る炎の中に飛び込んでいくようなプロジェクトを私はやっている。

自分で始めたプロジェクトならまだ納得できる。失敗したのは自分のせい。
途中から参加したらとんでもないことになっているプロジェクト。
まあ、巡航運転しているプロジェクトだったら人は足りている。やばいプロジェクトは人が足りない。

Project_management
フォトイルファンSimsarにUnsplash

さて、そんなやばいプロジェクトを何回かやっていると勝ちパターンというのが見えてくる。
それはよく考えてみるとアジャイル開発のプロセスに似ているなと私は思ったのでまとめておく。ちなみに20名~数百名ぐらいのプロジェクトでシステムインテグレータの職場を想定している。

ココがポイント

  • 炎上プロジェクトのプロジェクトマネジメントにはアジャイル開発の観点が役立つ

炎上プロジェクトのプロジェクトマネジメントにはアジャイル開発の観点が役立つ

アジャイルソフトウェア開発宣言

まずはアジャイルソフトウェア開発宣言を読んでみよう。

アジャイルソフトウェア開発宣言

  1. プロセスやツールよりも個人と対話を
  2. 包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを
  3. 契約交渉よりも顧客との協調を
  4. 計画に従うことよりも変化への対応を

そして私が今までに見てきた炎上プロジェクトに共通する点を以下に上げる。

メンバー間の対話がうまくいっていない

炎上プロジェクトに参加すると目にするのはメンバーの悲壮感。暗い顔。

「どうしてこうなった?」

私はこうなってしまった原因を聞こうと思うが、今の彼らには自分を責める言葉としか聞こえないだろう。

みんな一生懸命なんとかしようとしている。でも会話がない。笑顔がない。発言、意見がない。

炎上プロジェクトに参加するとまず目にするのはそんな暗い雰囲気。

JiraとかRedmineを使っているだけど、そこには放置されているチケットがある。ツールじゃないんだ。会話がないんだ。

プログラマの人は協力会社の人だったり、別の会社の人だったりで話しにくいのかもしれない。

原因を聞くよりも、コミュニケーション不足で滞留しているみんなの疑問点を解消するほうが先決。

チケットを起票したけど解消されずに困っている人を私は連れて、わかりそうな人のところに行く。

私と困っている人とわかりそうな人で話をする。私はプロジェクトに参加したばかりだから細かいことはわからん。でも辻褄が合う話をしているかどうかぐらいは分かる。質問した人が腹落ちしたかどうかぐらいは分かる。まだわかっていないなと思ったら私は助け舟を出してあげる。

そんな事を半月か1ヶ月ぐらいすれば、みんなの個性も大体わかってくる。私が間に入らなくてもお互いに話すようになってくる。

動かいないソースを一生懸命作っている

バグ
フォトミハイル・バジライバにUnsplash

 

動かない。大事な機能が動かない。えい!

念じたって動きっこない。設計が間違っているのか?プログラムが悪いのか?

設計者とプログラマーがやり取りを繰り返している。

「この設計だと実装できない」

「設計書直しました」

「あぁ、この設計だとフレームワークと合わない」

こんなやり取りが両者の間で起こってる。プログラムが分かる設計者、業務が分かるプログラマ。その二人で作ったらとりあえず動くものができるんじゃねえか?

でもそういう人は配下にメンバーがいて彼ら彼女らの面倒を見るのでそれどころではない。だって炎上プロジェクトなんだから。

本当は最初の方でプロトタイプ作っておけばよかったのだけど今となっては後の祭。嘆いたってしかたない。

下手にメンバーがいるからその人達を稼働させないといけないとリーダークラスは思っていることが混乱を招いている。

だからトップダウンで言うしか無い。動くサンプル作ってくれ。それに合う設計書の手本を作ってくれ。メンバーの工数は無駄にしてくれて結構。そう私は頼む。

お手本が一個あればみんな仕事が進み出す。

顧客との定例会では、言い争い

私は顧客定例にも参加する。炎上プロジェクトの顧客定例会がどんなものかは覚悟している。

クレームの連続だ。

「先週はなんとかリカバリーするって言ったじゃないですか!本当に納期に間に合うのですか!」

顧客からそんな叱責が飛ぶ。そして一寸法師のごとく針でついたように

「ちょっと個々の要件が曖昧だったので遅れてます」

と同僚がチクリと言い返す。

どっちが悪いとか、誰のせいとかでもない。もう困っているんだから正直になって協力をお願いしましょうと私は思い口を挟む。

「はっきり言って納期を守るのは難しいです。色々対策は検討しますが、御社のご協力も必要になります。」

この段階では計画がまとまっていないから突っ込んで話せない。とりあえず自分たちの悪いところを私は認める。でもこの範囲はお客様にもやってもらわないと出来ないよという事を認識してもらう。

無意味なスケジュールを守るため深夜残業・休日出勤

コアラ
フォトクリス・サウルにUnsplash

そんなこんなで1ヶ月はあっという間に過ぎていく。

もうマスタスケジュールとの乖離は明らかだ。プロジェクトの上層部は計画の練り直しに着手。メンバーはそれまでの疲れをつかの間癒やす。

  1. マスタースケジュールを見直す。
  2. 重要な機能から段階的にリリースする。
  3. スコープを狭める。
  4. 増員する。
  5. 運用で回避する

対策と言っても上のどれか、または複数組み合わせるかというプランしか無い。

厄介なのは本日2019年10月1日にあったような消費税増税のような法律や制度改正に伴う対応だ。どうしてもこの日までには仕上げないとならない。遅れることが許されないというものはなんとかして乗り切るしか無い。

 

カットオーバー 消費税対応

アジャイルソフトウェア開発宣言と反対の状態が起こっているのが炎上プロジェクトだ。

そして消費税増税、軽減税率対応、ポイント対応でデッドラインを乗り切ったシステムエンジニアの皆様。

お疲れさまでした。まだ、予断を許さない状況かと思いますが仕事をやりきった皆様に幸あれ。

 

-プロジェクトマネジメント
-

Copyright© ビジネス中学 , 2024 All Rights Reserved.